もくじ
モモンガが妖怪!?気になる名前の由来
『モモンガ』その名前の由来、気になりませんか?
なぜそう呼ばれるようになったのか、モモンガの愛くるしい見た目と夜行性であるその習性は、昔の人々にどう捉えられていたのでしょうか。
また、外国でのモモンガの呼ばれ方など、モモンガ好きなら知っておいて損はないトリビアをご紹介します。
日本では昔、妖怪扱いされていた
モモンガは日本で古くから知られていましたが、夜間にひらりひらりと滑空すること、また、獣なのか鳥なのかわからない外見などから、ムササビと同様、妖怪扱いされていたようです。
実際、平安時代にはモモンガとムササビの区別はされておらず、両者を同様に「モミ」または「ムササビ」と呼んでいました。
この「モミ」は「毛美(もみ)」という漢字があてられますが、毛が美しいことからつけられた名前です。
それが「モモ」となり、モモンガの鳴き声の「グァ」がプラスされて、「モモングァ」と呼ばれるようになりました。
ちなみに、「モモングァ」を漢字で表すと、「模模具和」となります。
そのあと、「モモングァー」「モモンガー」となり、現在の「モモンガ」に落ち着きました。
なお、「モモ」という言葉は今も地方で使われることがありますが、モモンガを指す言葉ではなく、ムササビや化け物を表す言葉となっています。
子どもを脅かすモモンガ
モモンガについての言い伝えもいろいろあります。
夜、道を歩く人を襲うといわれ、子どもを脅かしたり、しつけたりするときに、モモンガを引き合いに出したようです。
たとえば、なかなか夜寝ようとしない子どもに「寝ないと、モモンガが来るよ~」と言って怖がらせたり、子どもが言うことを聞かないと「モモンガが来て、山に連れていっちゃうよ」などと脅かしたという話がたくさんあります。
実際、昔の山村では、子どもが頭から衣をかぶってマントのように両手を広げ、「モモンガー」と大声で叫びながら、人を驚かすという遊びをすることもあったようです。
英名は空飛ぶリス
英名は「フライング・スクワール」で、直訳すると「空飛ぶリス」。
フライング・スクワールにあたるのが、アメリカモモンガやタイリクモモンガなどのリス科のモモンガです。
おもしろいことに、英語では、ムササビもモモンガもどちらも「フライング・スクワール」と訳されます。
ただ、ムササビのほうは「ジャイアント・フライング・スクワール」、モモンガは「スモール・フライング・スクワール」と、区別はあるようです。
ちなみに、エゾモモンガは「ロシアン・フライング・スクワール」となります。
一方、カンガルーの仲間のフクロモモンガは、英語では「シュガー・グライダー」と呼ばれています。
ヨーロッパではモモンガ自体の数は少なく、記録や伝承などもあまりありませんが、ドイツ語では「飛ぶ小さな角」という意味の名前で呼ばれています。
ほかに、モモンガの鳴き声がアイヌの子守唄に似ていることから、アイヌ人はモモンガを「アッカムイ(子守りをする神様)」と呼んでいました。
どんな種類がいる?代表的にあげられるモモンガ3種類
モモンガといってもその種類によって性格も特徴も変わってきます。
その可愛く愛くるしい姿を見て、ペットにしたいと思う方は多いのではないでしょうか。
以前はペットとして人気のあったタイリクモモンガは、残念なことに輸入が禁止となり、今現在ペットとして飼われているモモンガは一般的に2種類といわれています。
それぞれのモモンガの性格など考慮したうえ、ペットとして迎え入れてみてはいかがでしょうか。
ここではモモンガの種類別に特徴、性格をご紹介致します。
アメリカモモンガ
アメリカモモンガはリスの仲間で、名前の通り、アメリカ大陸に住んでいるモモンガです。
日本に輸入されているのは、繁殖された個体です。
見た目は全体にやや茶色がかった毛の色をしていて、おなか部分はクリーム色。
薄くて長いしっぽを持っています。
体重は55~85グラム、体長は12~15センチと、小柄なのも特徴のひとつ。
しっぽは7~10センチあります。
性格的には臆病な子が多く、飼い主さんになつかないこともあります。
ただし、精神的には強くて丈夫なので、ペットとしては比較的飼いやすいでしょう。
タイリクモモンガ
毛足が長めで、茶色とグレーがミックスされたような色をしています。
やや大きめの体つきで、体重100~120グラムで、体長15~16センチ。目に特徴があり、目のまわりが黒くなっています。
また、しっぽを背中に添わせて持ち上げるようにしているのも特徴のひとつです。
自分の思うままに行動しますが、精神的には弱く、デリケート。
そのため、ストレスなどが原因で突然死んでしまう子もいるようです。
飼い主さんに対しては、かまってほしいときだけ甘えてきます。
アメリカモモンガと同様にリスの仲間で、ヨーロッパからロシア、中国、朝鮮半島といった広い地域に住んでいます。
また、北海道に住む「エゾモモンガ」も、タイリクモモンガの仲間です。
タイリクモモンガは以前はアメリカモモンガと同様に人気のあるペットでしたが、数年前に輸入が禁止され、ペットとして飼うことができなくなりました。
フクロモモンガ
名前に「フクロ」という言葉がついていることからもわかるように、リスの仲間ではななく、「有袋類」にあたる、カンガルーの仲間です。
実際、メスのフクロモモンガはおなかに袋を持っていて、その袋の中で赤ちゃんを育てます。
見た目はサルに似ているモモンガで、大きさはやや小さめ。
毛並みに特徴があり、灰色の体に黒い縞模様が入っています。おなか部分はクリーム色の子と白い子がいます。
ひときわ大きい目もチャームポイントです。
体重は120~150グラム、体長は12~15センチくらい、しっぽは15センチ程度です。
人なつこい性格で、とくに離乳前後の赤ちゃんのうちから育てれば、飼い主さんによく甘えてきます。
その点では飼いやすいモモンガといえ、最近特に人気を集めています。
ただし、独特のにおいがあり、とくにオスはそのにおいが強いので、においに敏感な人は要注意です。
オーストラリアやニューギニアなどに住んでいます。
どっちがモモンガ!?モモンガとムササビの見分け方
貴方はモモンガとムササビの違い、説明できますか?
モモンガとムササビは類似点も多いため、混同している方が多いのではないでしょうか。
どちらもとても可愛いらしい見た目や仕草をしてますよね。
ここでは、そんなモモンガとムササビの生態の違いと、見分け方についてご紹介したいと思います。
どちらもリス科
モモンガ(アメリカモモンガ)とムササビはどちらもリス科の動物で、夜行性で樹上生活をし、木と木の間を滑空する点でも同じです。
また、食べ物についても、大きな違いはありません。
しかし、大きさや鳴き声、滑空のしかたなど、異なる点もいろいろあります。
体の大きさ
違いとしてまず挙げられるのが、大きさ。
ムササビは体長25~50センチでしっぽが25~40センチ、体重400~1300グラム。
一方、モモンガは体長が15~20センチでしっぽが10~15センチ、体重150~200グラムと、ムササビとくらべてサイズがぐっと小さくなります。
ムササビはぱっと見ると、小さめの猫くらいですが、モモンガは手のひらサイズなので、ひと目で見分けられるでしょう。
皮膜を広げたときの大きさ
皮膜を広げると、ムササビは新聞紙の片面くらいの大きさになり、モモンガは往復ハガキくらいになります。
滑空時の様子について、「ムササビは空飛ぶ座布団、モモンガは空飛ぶハンカチ」といわれています。
目の大きさ
どちらも、目がくりんと丸い点は同じですが、体に対する目の割合がモモンガのほうが大きくなります。
滑空のしかた
モモンガよりもムササビのほうが体が大きく、その分、皮膜も大きくなります。
具体的には、モモンガの皮膜は前後肢の間だけですが、ムササビは前後肢の間だけでなく、首から前肢にかけてと、後肢からしっぽにかけてにあります。
それにより、ムササビは100メートル程度滑空するのに対し、モモンガは20~30メートル程度と、距離が短くなります。
飛び方もムササビのほうが勢いがあり、モモンガはゆったり飛びます。
しっぽの形
ムササビはしっぽが円錐形なのに対し、モモンガは薄く、扁平です。
群れを作るかどうか
ムササビは単独で活動しますが、モモンガは4~5匹(多いときは10匹になることも)のグループを作って活動します。
鳴き声
モモンガよりもムササビのほうが大きな声で鳴き、鳴き声は「グルルルー」といった感じです。
一方、モモンガは「ズイズイズイ」という鳴き声です。
顔
ムササビの顔には、「白門」と呼ばれる白い帯模様がありますが、モモンガにはありません。
歩く力
モモンガもムササビもどちらも滑空する動物なのであまり歩きませんが、ムササビよりもモモンガほうが歩く力は強いようです。
器用さ
モモンガは枝を伝って歩いたり、逆さまに木を下りたりと器用に動くのにくらべ、ムササビはモモンガほど器用に行動できません。
モモンガの生態を知る!アメリカモモンガ編
愛くるしいその姿からペットとして人気の高いモモンガ。
ペットとして飼育されているモモンガの代表格といえば、アメリカモモンガ・フクロモモンガの2種類が一般的にあげられます。
ここでは、リスの仲間であるアメリカモモンガの生態についてご紹介します。
リス科の動物で小柄
アメリカモモンガはリス科アメリカモモンガ属の動物で、リスの仲間。
頭から胴までは12~15センチ、しっぽは7~10センチ、体重は50~80グラムとシマリスと同じくらいのサイズです。
野生種は南東カナダや東アメリカ、メキシコなどに分布し、平均寿命は10年以下です。
ただし、ペットとして飼われているアメリカモモンガなら、12年くらいまで生きる長寿の子もいます。
目が大きく、皮膜を持つ
目が大きく、頭の上のほうについています、また、耳も比較的大きめで、しっぽは平たいのが特徴です。
毛の色は背中側は褐色を帯びたグレー、おなか部分は白かクリーム色をしています。
また、おなかには筋肉と薄い膜、白くて厚い毛皮があり、毛皮はとても柔軟です。
口の近くにひげがあり、滑空するときの距離などを測る触覚センサーの役割をしています。
腕と脚は長めで、体にはムササビ特有の薄い膜があります。
高い木の上に巣を作る
アメリカモモンガの巣はコケや樹皮、草などで作れていて、地上2~12メートルくらいの高いところにあります。
木の穴やキツツキの穴などを利用して作れれています。
夜行性の動物で、夕暮れになると起きてきて、巣から出ます。
巣から出ると、ハンググライダーのように木から木を滑空して食べ物を探します。
滑空は短時間で長い距離を飛び、ときどきカーブをしながら飛んだりもします。
また、樹上を器用に登ることもできます。
繁殖は年に2回
繁殖は2~5月と7~9月に行われます。
オスは気に入ったメスを獲得しようと、ほかのオスと争うこともあり、争いのあと、強いオスだけが繁殖に成功します。
一方、メスは複数のオスと交尾し出産します。
子育ては母親だけで行われ、赤ちゃんが生まれると、オスは巣の中から出ていきます。
一度の出産で3~4匹の赤ちゃんが生まれ、生後2週くらいで体毛に覆われるようになり、5週目になるとようやく目が開きます。
甲高い鳴き声
アメリカモモンガの鳴き声は甲高く、高すぎて人間の耳では聞き取れないこともあります。
季節が変わると鳴き声も変わり、春から夏は鳴き声が比較的静かになります。
雑食性で鳥の卵やヒナを食べることも
ドングリなどの実や花、芽、樹皮、果実といった植物性の食べ物、また、昆虫などの動物性の食べ物の両方をエサにします。
ほかに、鳥の巣に行って、鳥の卵やヒナを食べることもあります。
体の大きいオオアメリカモモンガ
アメリカモモンガの仲間に、「オオアメリカモモンガ」があり、体の全長が25~30センチ、体重120~150グラムと大きめなのが特徴です。
モモンガの生態を知る!フクロモモンガ編
愛くるしいその姿からペットとして人気の高いモモンガ。
ペットとして飼育されているモモンガの代表格といえば、アメリカモモンガ・フクロモモンガの2種類が一般的にあげられます。
ここでは、カンガルーの仲間であるフクロモモンガの生態についてご紹介します。
野生では、グループを作って行動
野生のフクロモモンガは樹上に棲み、木から木へと自由に滑空する、とてもアクティブな動物です。
その移動距離は100メートルほどと、かなり遠くまで飛び移ることができます。
ユーカリの枝で巣を作り、数匹(7匹くらいまで)のグループで生活をするようです。
グループにはオスとメスがいて、オスはなわばり(約1万平方メートル)を示すために、肛門や手、足にある「香腺」から分泌物を出します。
なお、オスの額や胸にも、マーキングするための香腺があります。
グループにはリーダーが存在
グループにはリーダー(オス)がいて、大量の「テストステロン(メスが惹かれる、男性ホルモンの一種)」を出し、においでグループ内のメスを引きつけます。
また、このにおいで同じグループの仲間かそうでないかを判別し、ほかのグループのモモンガが接近してくると、瞬時ににおいでわかるので攻撃をします。
なお、グループ内での激しい戦いはありません。
冬眠することも
フクロモモンガは気温が低くても比較的大丈夫な動物ですが、あまりに寒さが厳しいときや、食料不足が続くときなどは、冬眠することもあります。
天敵は猫やフクロウなど
フクロモモンガの天敵は猫やフクロウや、ワライカワセミ、オオトカゲなど。
とくに生後1年までの死亡率は高いようです。
生息地はオーストラリアやパプアニューギニア
生息地はオーストラリアの北部や東部、パプアニューギニア、タスマニアなど。
パプアニューギニアのフクロモモンガはオーストラリアのフクロモモンガの子孫であるといわれています。
鳴き声で感情を表現
フクロモモンガはおもに鳴き声でコミュニケーションを行います。
そのため、さまざまな鳴き声を出します。
恐怖を感じているときは「ジージー」と低い声で鳴きます。
また、繁殖期には、子犬のように「キャンキャン」「アンアン」と甲高い声で鳴くことがあり、これは、オスがメスにラブコールするときのサインです。
昆虫や樹液を食べる
フクロモモンガは雑食で、野生下では、ユーカリの甘い樹液や花粉、花蜜、果汁、ガやカブト虫などの昆虫、昆虫の幼虫、クモ、小さい脊椎動物などを食料にしています。
季節によっても異なり、春や夏は昆虫をメインに、秋と冬は樹液をメインに食べるようです。
フクロモモンガの中にもいろいろな種類が
フクロモモンガ属の中ではフクロモモンガとビアクフクロモモガが一般的です。
ほかに、オオフクロモモンガやパプアフクロモモンガ、マホガニーフクロモモンガ、オブトフクロモモンガなどの種類がありますが、どれも少数派。
とくにマホガニーフクロモモンガは絶滅危惧種となっています。
モモンガの生態を知る!エゾモモンガ編
様々な種類のモモンガがいますが、ペットとしてよく飼われているのは「アメリカモモンガ」に「フクロモモンガ」です。
ここで紹介するのは「エゾモモンガ」ですが、エゾモモンガって、どんなモモンガか知っていますか?
残念ながらペットとして飼うことができない種類なんですが、その姿の可愛らしい事!
モモンガ好きでなくとも、その姿を見たらイチコロになってしまうほどの愛くるしさなんです!
ここでは、そんなエゾモモンガの生態についてご紹介していきたいと思います。
タイリクモモンガの仲間
リス科のタイリクモモンガの亜種で、北海道全域の森や林の中に住んでいるのが「エゾモモンガ」。
個体数は少なく、年々減少する傾向にあります。
エゾモモンガは体長15センチ、しっぽが10センチ、体重100~120グラムの小さな動物です。
夏は茶褐色、冬はグレーの毛
見た目の特長としては、夏毛は背中からしっぽにかけて薄い茶褐色、おなか部分は白い毛で覆われていて、皮膜は淡い黄褐色です。
冬になると、背中からしっぽの毛が薄いグレーになり、毛足が長く、厚くなります。
ただし、毛の色については個体差が大きいようです。
皮膜は手首から足首までつながっていて、足としっぽの間にはありません。しっぽは平らで水平です。
おなか側に乳頭が4対あり、陰茎部は細長く、二股になっているのが特長です。
木の実や樹皮、昆虫を食べる
食べ物はおもに柳やハンノキ、カエデ、ミズナラ、トドマツ、ハルニレなど、木の芽や樹皮、葉、種、実などを食べています。
ほかに、動物性タンパク質として、昆虫を食べることもあります。
4~5月に出産することが多い
エゾモモンガの鳴き声はなかなか耳にすることができないのですが、2~3月の繁殖期には、オスが「ジュクジュク」「ズイズイズイ」などといった鳴き声を出すこともあります。
この鳴き声で、オスがメスに求愛します。
オスが求愛しても交尾するかどうかはメス次第で、メスが受け入れると、交尾が行われます。
妊娠すると、母親だけで出産、子育てをします。
だいたい4月から5月にかけて出産することが多く、赤ちゃんは生後2カ月くらいでひとり立ちします。
ひとり立ちしてからは、親子の認識はなくなります。
なお、秋にも繁殖行動が見られることもあり、その場合は一年に2回の出産が行われることになります。
夜行性で、ほとんど樹上で生活
夜行性で、とくに日没ぐらいの時間帯と日の出くらいの時間帯に活動的になります。
その時間に排泄をしたり、エサを食べたりしますが、だいたい1時間程度ずつ。
それ以外の時間はだいたい巣の中で眠っているようです。
エゾモモンガは樹上で生活をし、地面に下りることはめったにありません。
移動するときは木々の間を滑空しますが、ときには100メートル以上滑空することもあります。
なお、エゾモモンガはリスの仲間ですが、リスのように冬眠することはありません。
以上のような生態から、エゾモモンガを見ようと北海道を訪れても、なかなか出会うことの難しい動物といえるでしょう。
https://pet-siiku.com/momonga/pet303