フクロモモンガの繁殖をさせる前に知っておきたい事
飼い主さんにとって、フクロモモンガの繁殖といえば、醍醐味の一つではないでしょうか。
繁殖自体は難しい事ではありませんが、問題はその後、育児放棄や子殺しが起きないとは言い切れません。
繁殖させるにあたり、飼い主が気をつけるべきことや、繁殖についての正しい知識を身につけるべく、下記に情報をまとめてみました。
フクロモモンガは繁殖しやすい
フクロモモンガの繁殖は比較的簡単ですが、心配なのは、赤ちゃんが生まれても、親がちゃんと育てられるかどうかということ。
とくに生まれた赤ちゃんはすぐ親の「育児嚢」という袋に入るので、その中で親が殺してしまい、死んでいるのを飼い主さんが気づかなかったということもあるようです。
妊娠がわかったらストレス対策を
そのためにも、母親にストレスを与えないことが大切。
ケージの掃除は必要最低限にし、できるだけ静かにしておきましょう。
また、妊娠がわかったら、いままでのごはんの量を1.5倍を目安に増やし、とくにタンパク質とカルシウムは多めに与えます。
赤ちゃんが生まれたら、人間のにおいをつけることも避けましょう。
オスは1歳、メスは2歳までに性的に成熟
フクロモモンガが性的に成熟するのは、オスは生後12~14カ月、メスは生後8~12カ月です。
特徴としては、オスは胸の中心あたりや頭のてっぺんの毛が薄くなり、はげてきます。
オスがにおいや声でメスを誘う
繁殖期になると、オスはメスの胸に額をこすりつけます。
逆に、メスはオスの胸にある香腺に頭をこすりつけて受け入れます。
オスは「キャンキャン」と子犬のように甲高い声を出して、メスを誘うこともあるでしょう。
10~15日間の妊娠後、生まれる
妊娠すると、10~15日くらいで出産となり、1度の出産で1~2匹の赤ちゃんを産みます。
生まれてすぐの赤ちゃんは重さ0.2グラム程度です。
赤ちゃんが生まれるとすぐ、母親が育児嚢までの道のりをなめます。
そのにおいをたどって赤ちゃんが袋に入り、その中でおっぱいを飲んで育ちます。
出産後20~30日(遅いときは生後70日くらいかかることも)で赤ちゃんは袋から出て、今度は1カ月くらい巣の中で暮らします。
100~110日すると巣から出て、やっと独り立ちできます。
赤ちゃんは母親の袋から出て7~10日たつと目が開き、そのあと、5~7日で離乳します。
なお、予定よりも早く赤ちゃんが袋から出てしまったときは、母親が育児放棄をしてしまったのかもしれません。
飼い主さんが育てるのは難しいので、すぐに獣医さんのところに連れていきましょう。
ただし、助かる確率は高いとはいえません。
子どもが親離れをすると、メスは次の妊娠をすることができますが、母体を休めるためにも、次の出産までは半年以上おくことが大切です。
繁殖は春や秋に
フクロモモンガの繁殖期は一年中ですが、できれば、春や秋などの子育てしやすい季節に繁殖させるのがベスト。
真夏や真冬は母親にとっても赤ちゃんにとっても体力を余計に使うので、避けましょう。
知識と覚悟が必要!フクロモモンガ赤ちゃんの育て方
フクロモモンガの赤ちゃん、とっても可愛いですよね。
そんな愛くるしい赤ちゃんを自分の手で育てるとなれば、愛情も倍増となるに違いありません。
また、親モモンガの袋を真似て巾着に入れ、一緒にいると飼い主によく懐きます。
あなたの手にちょこんと乗るモモンガ・・想像しただけでも悶絶級に可愛い!
憧れの手乗りモモンガも夢ではないですよ!
しかし、そんな可愛いフクロモモンガの赤ちゃんを育てるのは、そう安易なことではありません。
それなりの知識と覚悟が必要となります。
フクロモモンガの赤ちゃんを育てるにあたり、下記に基本的な情報をまとめてみました。
知識と覚悟、愛情をもって赤ちゃんを迎え入れる準備をしましょう。
離乳まで時間がかかる
フクロモモンガは生まれるとすぐ親の育児嚢(袋)に入り、そこで授乳されて育ちます。
離乳まではかなり時間がかかり、生後7週前後になっても離乳しない子もいるようです。
ちなみに、ペットショップで売られている赤ちゃんモモンガは生後4~6週くらいが多いでしょう。
温度と湿度をしっかり管理
まず、赤ちゃんモモンガが家に着いたら、しばらくそっとしておいてあげましょう。
静かで暖かいところがよいでしょう。
ケージは昆虫ケースや水槽などのプラスチックのものがおすすめです。
うんちやおしっこで底が汚れてしまうので、新聞紙かペットシーツなどを敷き、こまめに取り替えて清潔を保ちます。
容器内の温度は30度前後、湿度50%前後になるようにします。
とくに温度は大切で、25度以下になると低体温症になってしまうこともあります。
人間の暑さ寒さに対する感覚はあてにならないので、温度計できちんと管理することが大切です。
はじめはミルクを与え、次第に固形物に
食事は8時間おきくらいに人肌に温めたミルクを与え、5~6週くらいからはミルクと併用して固形物も与えます。
飼い主さんの手からごはんを与えることで、馴れてくれやすくなります。
巾着に入れて肌身離さず
手乗りにしたい場合は、巾着を用意します。
巾着はどのようなタイプのものでもOK。
赤ちゃんモモンガを巾着に入れ、できれば肌身離さないようにするとよいでしょう。
そうすることで飼い主さんのにおいや声、顔を覚えてくれるはずです。
なお、巾着は洗い替え用に2枚用意しておきます。
毎日、日光浴をさせる
モモンガは夜行性の動物ですが、1日1回日光浴をさせることも必要です。
光がないと摂取したカルシウムが体内で分解できず、ひどいときには「クル病」になることもあります。
日光浴は短時間でOK。
毎朝、ケージごと光のあたる場所に移し、しばらく置いておくだけでよいでしょう。
うんちがコロコロか確認
健康チェックも行いたいものです。
毎朝、うんちの状態を観察しましょう。
コロコロとして切れがよいうんちなら、健康な証拠です。
逆に、かなり軟らかいときは下痢を起こしていることも。
とくに赤ちゃんのうちは、ストレスや疲れから下痢を起こしやすくなります。
下痢が何日も続くようなら、病院で診察しましょう。
ただし、ミルクを飲んでいる間は、うんちは多少軟らかめになります。
抜け毛はたいてい心配ないもの
赤ちゃんや子どものうちによく見られるのが、抜け毛。
ストレスなどが原因のことが多いようです。
ただ、たいていはしばらくすると、毛が生えてふさふさしてくるので、心配はありません。
ハムスターやモルモットなどと一緒に飼っている場合は、皮膚病の心配もあります。
皮膚病のような状態が見つかったときは、病院で診察を受けましょう。
赤ちゃんモモンガを育てる!重要な授乳のポイント
モモンガの赤ちゃんを育てるにあたって、授乳は重要不可欠となります。
赤ちゃんから育てることで飼い主によく懐き、愛情も倍増する事と思います。
自分の手で育て上げた達成感は格別なものとなるでしょう。
ここでは赤ちゃんモモンガの授乳に関して、量や回数、離乳食について紹介していこうと思います。
数時間おきに授乳する
モモンガの赤ちゃんを育てるときに重要なのが、授乳です。
うまく授乳ができて飼い主さんに馴れてくれれば、とてもなついて、甘えてくれるようになるでしょう。
人間の赤ちゃんの場合も同様ですが、授乳は数時間おきに行わなければなりません。
ただでさえ小さいモモンガの赤ちゃんは、胃がとても小さく、一度にたくさんのミルクを飲むことできないからです。
30グラム前後の赤ちゃんなら、3~4時間おきに授乳させましょう。
また、あまり量を飲んでくれない食の細い赤ちゃんなら、一度に飲む量が少なくなるので、2~3時間おきなど、もっと短い間隔で授乳することが必要です。
日が経過するとともに、徐々に赤ちゃんの胃が大きくなり、一度に飲むミルクの量も増えていきます。
授乳の回数を徐々に減らしましょう。
量は赤ちゃんが飲みたいだけ飲ませても問題ありません。
だいたい生後1カ月になると、1日1回の授乳で済むようになります。
ミルクは小動物用の粉ミルクを
モモンガの赤ちゃんに飲ませるミルクは、小動物用の粉ミルクを選びます。
人間が飲む牛乳などを飲ませると、おなかを壊してしまう危険性が大です。
粉ミルクはお湯で溶いてから30~40度にし、スポイトなどを使って赤ちゃんに飲ませます。
リンゴなどのくだものも与える
ミルクのほかに、リンゴなどのくだものやにんじんなどを、赤ちゃんが暮らすプラスチックケースに入れておきます。
赤ちゃんはまだ歯がそろってないので、かむことはできませんが、口に入れてハミハミするでしょう。
なお、食が細く、ミルクをあまり飲まない子でも、リンゴのすりおろした汁なら飲む場合もあります。
工夫してみましょう。
生後2カ月くらいになると、固形物も食べられるようになります。
パンにミルクを浸したもの、ゆで卵、くだもの、殻をむいた木の実、種子類などを少しずつ与えます。
ただしこの時期は、胃腸が発達していないので、消化の悪いものは避けます。
とくにサツマイモなどの繊維質が多い食べ物は下痢を起こす心配もあるので、あげないほうが無難です。
個体差はありますが、生後3カ月くらいになると、木の実や種子を殻ごと与えても大丈夫になります。
飼い主さんの手で授乳
モモンガの赤ちゃんにミルクを飲ませるときは、飼い主さんの手にのせて行いましょう。
また、くだものや木の実などの固形物をあげるときも、食べ物を飼い主さんの手にのせて食べさせます。
こうすることで、「飼い主さんの手だとおいしいものを食べられる」と、飼い主さんの手が好きになり、モモンガがなついてくれるのです。
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